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鬼の石杖 |
郡内には石杖の伝説がある。このことについて書いてある本がいくつかあるのだが内容がすこしづつずれている。まとめると以下のようになる。
参考書 | 石杖の由来 | 補足 | ||
杖の持ち主 | 吉久保 | 石動 | ||
郡内甲州街道物語 | 岩殿山の赤鬼 | 右杖 | 左杖 | 何かに驚いた鬼が石の杖を投げ飛ばした。石動の左杖には、鬼の指の跡がついている。 |
明日を考える 歴史資料集 甲州街道 |
岩殿山の山姥 | 右杖 | 左杖 | 右杖は、JRの工事で石の高さが低くなった。 |
甲斐の伝説 | 山姥 | 折れた杖 | 折れた杖の片割れ | 山姥は長旅をしていた。 |
大月観光ガイド | 岩殿山の鬼 | ・・・・ | もも太郎に投げつけた石の杖 | 石が刺さった時、地面が大きく揺れたのでこの辺りを”石動(いしどう)”という。 |
右の杖(立石坂の立石) | ||
![]() 20号にぶつかるところは工場の敷地の一角で、中央線をくぐるところに「立石坂の立石」の標があるので、これにしたがって工場の敷地の中を進むと線路沿いの林の中に引きこまれ、説明板とともに、石杖(立石坂の立石)が現れる。中央線のすぐ横に ザクッ と刺さっている。 高さは2mほどある。岩盤から突き出しているのだろうが、仮に地下に同じだけ刺さっているとすると、全長4m。厚さは20cmほどある。巾は1mほどある。全部で800000cm3ということになる。石の種類にもよるが、2t以上にはなりそうだ。この石が山姥の杖だとすると山姥の身長は少なくとも4mくらいありそうである。巨大だ。この石が岩殿山の鬼のものだとすると、2tの石を9.5kmほど投げ飛ばしたことになる。これまたすさまじい。 |
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![]() 石杖:正面から |
![]() 石杖:側面から |
![]() 石杖:線路の反対側から |
左杖(鬼の杖) | |
![]() この一角だけが不思議な雰囲気が漂っている。異次元にワープしたような感じになる。10mほどの空間は、周りより一段低くなっており、その中に石杖だけが刺さっている。昔の写真が掲載されている本があるが、これでは石杖と道路との高さが同じである。石杖の大きさはほぼ同じくらいなので、実際は石杖の位置が低いのではなく、周りの住宅の位置が高いのではないかと思われる。 石杖は約60度に傾いて刺さっており、傾いた先には岩殿山がある。石杖には鬼の指跡があると云うがそのようには見えない。周りには石積みがあり、いかにも何かの儀式の場といった感じがする。考古学界では日本の原人の存在が怪しくなってきている。しかし、「鬼の石杖」のこの場所に来ると、この地に原人がいて、鬼の石杖に祈りをささげていたのではないかと思われてくる。というより、今この場にいる自分自身が原人であるかのような錯覚に陥ってしまう。 石杖の全体の大きさはわからないが、地上に120cmほど突き出ている。立石坂の立石と同じに考えると240cmとなる。石杖の持ち主が、鬼なのか、山姥なのか、鬼の形相の山姥なのかわからないが、4mと2.4mとはやけに不釣合いな石杖を使っていたものである。 |
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![]() 鬼の杖:岩殿山に向いている |
![]() 鬼の杖:岩殿山に向けて傾いている |
![]() さて、笹子駅から行く”立石坂の立石”、猿橋駅から行く石動の”鬼の石杖”を見てきた。どちらもなかなか印象深い。とくに”鬼の石杖”は私を何千年もタイムスリップさせてしまった。
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この宣伝文句は、立石坂の立石と石動の鬼の杖だけを元にしているが、実は岩殿山にまつわる鬼伝説には、「鬼の血」というものがある。